2013年9月3日火曜日

『セシリア』水野英子



水野英子さんの『セシリア』を読み返しました。
何度読んでも名作!
上の扉絵、すてきですね。題字もロマンチック・・・。
1964年に『マーガレット』に発表された作品です。『ジェニーの肖像』という小説を翻案したものなのですが、当時は著作権という認識が希薄だったため、水野さんのオリジナル作品として連載されたそうです。
水野さんは他にも『ローマの休日』や、『麗しのサブリナ』の翻案『すてきなコーラ』など、映画のコミカライズもいくつかありますね。男性キャラクターがハリウッドの2枚目俳優さんみたいなのでムード抜群になるんですよね~。


物語の冒頭に登場する一枚の少女の肖像画にまつわるふしぎなお話・・・。
二人の出会いから語り始められます。



霧の深い日に売れない絵描きのロバートの前に現れた美少女セシリア。
十何年前に自殺したアルバイン夫妻の娘だといいますが・・・。
おかしいと思いながらも心惹かれるロバート・・・。 
「あなた・・・ わたしが 大きく なるまで まってて くれる?」

これが不思議な運命の始まりでした。

    

1週間後に再会したセシリアの成長ぶりに驚くロバート。
セシリアは2年ぶりと言っており、二人の時間の速度が合いません。
「ばかな」と思いつつもセシリアとの再会の喜びにひたります・・・。
  

スケート靴を借りて戻ってきたセシリアはさらに成長していました!!
これにはロバートも驚きを隠せません・・・。
「いや・・・ なんでも ないよ」  


別れ際に「まってて くれるわね」と懇願するセシリア。
夢見るような瞳のロバート・・・。


ある日ロバートが部屋に帰るととさらに成長したセシリアが待っていました!
美しいセシリアに感動したロバートは絵筆をとります・・・。
 

「時はとまり すべてのものが わたしのまわりから きえた」
時空を超えたセシリアとロバートの二人だけの世界・・・。
舞いちるバラと・・・セシリアの輝く瞳・・・。
ステキなワンシーンですね! 


心を捧げたセシリアの肖像は2000ドルという値段がつけられました!
マスターピースとして美術館に収蔵されるという大出世!
  

この作品のポイントはセシリアがロバート以外の人間にも見えているという点です。
もし、ロバートだけが会っているという設定だったら、想像上の少女なのかな?と思いますが、友人や下宿のおばさんにも見えているのです。
ふしぎなお話ですよね・・・。
   

はたして二人の時間が重なる時はやってくるのでしょうか・・・。
どんな結末なのか気になった方は読んでみてください~。


ネイサン原作の『ジェニーの肖像』は早川書房から出ています♪
こちらもすてきな作品なのでオススメです!
  






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